ここも大型バスが入れない、穴場のトレイルコース。子どももらくに歩けるし、その名のとおり、天使の羽のようなエンジェル氷河をみながら、変遷する森林生態系も味わえてよろしい。
まだ見ていなかったサンワプタ滝やアサバスカ滝などに寄り、バンフの街に戻って、韓国レストランに入る。最後の晩餐だ。肉を欲しているわけではないが、チゲ鍋とごはんをたくさん食べた。うーん、漬け物がおいしい。やっぱりコリアンは同族だ。
バンフで夕飯を食べてしまったのでキャンモアの街についたのが遅く、もうどこも宿は満員。8時になってもみつからず、もうこうなったらカルガリーまで寝ずにいこうか?と考えもした。夫は、それでは子供達がかわいそうだと、郊外の住宅地にあるB&Bをまわりはじめた。そこで、やっと1軒のB&Bがみつかった。それも、事情を聞いたお客のひとりが広い部屋を譲ってくれたのだった。スイスのおばさんだった。ありがとう。
サニービューイン泊
コーンフレークや果物、生オレンジジュースなどもついた豪華な朝食を頂いて出発。カルガリーへ
旅行最終日のメインイベントは、ヘリテージパークだ。日本で言うと、機能している明治村といったところか。西部開拓時代の町並みが再現してあり、ホテルの中のレストランもやってるし、店も実際に品物を売っているし、パンも焼いている。農場では家畜を飼っている。
この種のテーマパークは各地にあるが、これほどきちんと機能させてるところは珍しいのではないか?街の有力者の自宅(いろんな設定で家が連なる)では、お茶会が開かれているし(室内劇を廊下からみるしかけ)汽船には遅刻寸前(これも演出)でドレスとタキシードのカップルが乗り込んできてデートしている。おばあさんはイスに座ってキルトをしている。
ムースの頭の剥製がかかってたので、おばあさんに尋ねると、昔は、みんなムースを穫って食べたからこういう剥製が普通の家にあるんだと言う。おばあさんも食べたことある、って言うからどんな味?って聞いたら、チキンみたいな味だと言ったような記憶がある。「じゃぁ、チキン食べてればいいのに」と心の中で思った記憶がある。定かではないが。
大人2千円くらいの入園料を払うと、機関車もガイド付き馬車も汽船も乗り放題。昔ながらの遊園地も乗り放題。飲んだり食べたり、とおみやげもののお金は別途。ここはわが家では大ヒットだった。
なかでも、いいのが遊園地。大昔の遊園地を再現してあるのだが、どの遊具も原始的でのりごごちが悪くて安定性がない、おもしろい。その上、いかにも古そうで(実際も古い)ケガなどしたって自己責任だぞ、とどこかにかいてあったに違いないほど、こわい。
圧巻は観覧車。木でできたブランコがまわるのだが、ストッパーがない!ずりっといったら落ちることができるのだ。そしてバランスをとるために、180度間隔で席の入れ替えを行うので、まわってる時間より、乗り込む、降りるために空中にぶらさがってる時間のほうが長い。もちろん私は乗らないが、夫は、「めっちゃこわかったぞ、おもしろいぞ」と喜んでいた。信用できないために生じる不安からくる醍醐味、というものか?(なんやそれ?)
ひとしきり遊んだあとは、モールへ行きひまつぶし。カナダのモールはどこも似たようなモールでそんなに目新しくはなかった。サンリオショップがあったのは目新しかった。
ガソリンを満タンにしてから、車を返して空港で待つことにする。日本円にして7万2千円ほどのレンタル代金だった。ガソリン代をいれても1日当たり7千円もしないから、ずいぶんお得ですね。
深夜の0時40分の飛行機だったので、それまでの時間つぶしがしんどかった。空港の待合い室にいたが、寝るわけにもいかないし、遊ぶ気力もないし、チープな航空券はつらいなぁ。
待合い室に置いてある子供向きの本が、ほとんど、先住民(インディアン、イヌイットなど)に関するものだったのが興味深かった。
文庫のそばにはこの空港の偉いさんのコメントが添えられている。
「私たちの役目の一つに、カナダの先住者たちの歴史や文化を敬い、過去の侵略の歴史を反省し、今後の共生をよりよくする努力があります」という内容で、そのためにこの文庫を設けたのだそうだ。
世の中の流れにかなったポーズなのだとしても、こういうのは偉いな、と思う。だけど、この2週間、先住民族とか、その文化を目にしたのは、博物館とおみやげもの屋の人形と、この空港文庫だけだったよ。みんな、どこにいるんだぁ?
待合いの末、私たちの飛行機は無事に飛び、朝早くに、やっとわが家のベッドで寝ることができました。やれやれ。